職業は理美容師と言うと、よく言われるのが…
「カットって仕入れが無いから、まるまる利益だから儲かるよね〜」とか
酷い時には、
「原価がかかってないのに、なんでカット料金に6000円(銀座は1万円)も取るの?」
なんて、時々聞く。
母も美容師なのだが、僕が子供の頃に、義理の姉妹(僕からすれば叔母)がパーマをかけに来て、母にお金も払わないで帰っていく姿に、それが当たり前なのか…と。パーマ液代の原価が当時数百円だから良いのか?と。
僕が専門学校の授業で、始めて人形の頭相手にパーマを全頭巻いた時に、6時間もかかり。こんなに難しい仕事だから、パーマの料金は高いんだ…って一人で納得していた。
カットの料金は、それぞれサロンや技術者によって違う。その理由は、経験値、勉強に費やす時間、どうしたらお客さんがより良く手入れが楽にキレイな髪になってもらえるかと真剣に考える時間。下積み時代なんて手取り数万円で修行してきた。せめて技術者になってからは陽の目を見ても良いのではと思う。
技術料は、その技術者が今までに技術習得の勉強に費やした「時間」という原価に対して支払われると思う、さらに設備投資費や電気代、固定経費の家賃と給料など。
例えば30年も美容師をやっている人が、過去20年もの間、まったく勉強もせず向上心もなく、ただ来たお客さんをカットし続けてきたのなら、カット1000円でも2000円でもどうでも良い。しかし、自分の仕事に誇りを持ち、何十年美容師をやっていても新しい技術や流行を勉強してお金と時間を常に投資し続けている美容師へは、きちんとした対価を支払わないと、業界が駄目になるし、良い技術が市場に出てこないとお客様にも不利益になるのではないかと思う。
技術者も、自分の歴史の「時間」に対して、堂々とカット1万円ですって言えるような業界になり、人々も技術者の努力に敬意を払って支払えるような構図になって欲しいなと思う。それにはあと何十年もかかるかもしれない。いや、そんな時代は来ないのかもしれない。
調理師も美容師も、下積みが厳しいのに見合った料金が取れない業界ってデザイナーもそうだし、たくさんあるのだろうと思う。
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